2011年6月21日火曜日

♪アフリカの村で病気になるという事♪               朋子さんのブログから




訪問した村の保健に
貼ってあったポスター:
「安全な出産の為には、
病院か保健所に行きましょう」
だって。
近くにあればいいけど。

  









     今朝寝ぼけ眼で朝食の野菜を刻んでいたら、
     手を滑らして指を切ってしまいました。
     結構血が出たので慌てて消毒して 
     バンドエイドを付けて一安心。
     その後出勤したら、
     ある青年のお見舞いの為に
     同僚と病院に行く事になりました。
     その青年とは、
     先日の出張でたまたま訪問した 地方の病院で、
     傷が悪化して瀕死状態になっていた28歳の若者。
     私達が彼を見た時、
     傷を負った方の足は象の様に
     異常な太さに腫れ上がっていて、
     もう片方の 足は長い間
     歩いても食べてもいないせいか針金の様な細さで、
     彼自身は骨と皮位ガリガリで昏睡状態。
     しかし、その地方病院は設備も薬剤も整っていない為、
     彼に治療する術がなく、
     看護師曰く
     「ビサウの病院に行けない限り、
     彼が死ぬのは時間の問題だ」とのこと・・・。
     しかし我々の所属機関としては、
     国全体の保健 システムや
     政策の向上の支援をしている為、
     患者一人一人の支援をする事はできません。
     でも、そんな瀕死状態の患者を見てしまった以上、
     何もしないで立ち去 るにはあまり心痛んだので、
     結局出張参加者の間で個人募金して、
     その患者をビサウに送る費用を
     家族に渡したのでした。

     それから10日間して
     彼が実際にビサウの病院に入院できて治療を受けている、
     という知らせを受けたので、
     今日お見 舞いに行ってきた訳ですが・・・。
     いざこの国で一番大きいビサウの国家病院に行くと、
     患者の列が建物の外まで溢れています。
     やっと中に入って、
     「先週の日 曜に急患でファリムから来た
     セク・カマラという青年は何処?」と訊くと、
     何のデータも調べずに
     「裏の男性病棟に行け」と言われ、
     そこに行くと今度は何故か 「小児科病棟」に行けと言われ、
     そこで見当たらないので看護師をつかまえて訊くと
     「外科に行け」とたらい回し。
     そうやって40分以上回った挙句、
     また元の 緊急病棟に戻ってくると、
     「ここは急患を24時間対応し、
     その後専門科に送るから、
     専門病棟に居ないなら退院したか亡くなったかだ」と言います。
     「え、亡 くなっちゃったの?」と
     心がズーンと沈んだ矢先、
     ファリムのその青年の家族からたまたま電話が掛かってきて、
     「セクは急患病棟入って左側3番目の部屋に入 院した筈だ」
     と教えてくれたので、
     最後の望みで行ってみたら・・・居ました!
     昏睡状態だった彼が、
     意識が戻ってご飯も食べられる様になり、
     その上2-3言 話せる様にまでなって!!良かった~!

     付き添いの彼のお父さんには
     地方病院でも会ったのですが、
     その時は絶望的な表情をしていたのが、
     今日は満面の笑顔 で嬉しそう!
     セク君の手を握ったら、
     目はまだ良く見えないからか
     別の方を向いたままでしたが、
     ちゃんと握り返してくれました。
     お父さんはそんなセク君を愛 しそうに見ながら、
     「この子は出稼ぎ先で怪我をしてしまい、
     家族に連絡も取るお金も病院に行くお金もなく、
     悪化するがままになっているのを、
     たまたま訪ね て行ったもう一人の息子が
     見つけてファリムに連れて来たんだ。
     でも、その時には既に瀕死状態だった」と。
     その後顔を曇らせ、
     「やっと入院できたものの、治 療費が払えるか心配だ」
     とも言っていました。
     本来だったら働き盛り・楽しみ盛りの20代後半を、
     生きるか死ぬかの境界線で無力に横たわっているセク君。
     彼や彼のご両親の心境を考えたら、
     私もやるせない気持ちになりました・・・。
     今朝の傷跡が夜になってもまだ疼きます。
     でも私には自分で治療する応急手当セットもあるし、
     いざという時は国内外で治療を受ける手立てもあります。
     でも、それは実は非常に恵まれている事で、
     貧困国の村落部の一般市民にとっては、
     治療を施せるだけの保健所・病院が近く にある事、
     しかも仮にそこに行けても
     入院費や治療費が払える事は稀少なのです。
     そんな医療事情の格差を改めて「痛感」した1日でした。

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