2026年7月12日日曜日

19回映画談義とおやつの会        (アラビアのローレンス)

 参加者6名

 皆さん毎回違ったおやつを持ってきてくださるので、とても楽しみ!
 今回は節子さんの日本からのお土産のお菓子もあり....食べきれないほ
 ど。お菓子を食べながらこのローレンスについて、話が盛り上がりま
 した。


 今月の映画の話題は、1963年に公開されたデビット・リーン監督、
 ピーター・オトゥール主演の「アラビアのローレンス」

 実在のイギリス陸軍のトマス・エドワード・ロレンスが率いた、
 オスマン帝国からのアラブ独立闘争を描いた歴史映画です。
 前編、後編とに分かれていて、上映時間223分。

トマス・エドワード・ローレンス

 上の写真が実在のローレンスです。なんか主演のピーター・オトゥー
 ルに似ていますね。彼は中東専門の歴史学者であり、イギリス陸軍の
 情報将校。アラビア語や風習、部族社会に詳しいうえ、アラブ情勢の
 分析など、その現地理解の深さから、アラブ側と協力関係を築かせる
 役としてアラブに派遣されます。この物語の時は彼はまだ28歳の青
 年だったそうです。

 物語はローレンスのバイク事故死のシーンから始まります。これが事
 故であるのか、自殺であるのか.....
 史実では、彼は戦後名声を嫌って身を隠すように暮らし、心身ともに
 疲労していた。こうした背景から「自殺願望があったのではないか」
 と推測されたりしますが、あくまでも仮説で、決定的な証拠は見つか
 っていないようです
 

 第一次世界大戦中、イギリスはドイツ側について参戦したオスマン帝
 国に、アラブ人の反乱が起きれば、オスマン帝国軍はシリア方面に兵
 力を割かざるを得ず、スエズ運河などイギリスにとって重要なルート
 の防衛に有利になると踏み、ローレンスをアラビアに派遣。

 ローレンスは、ヤンブーでアラブの反乱の指導者ファイサル王子に
 面会し、独立闘争への協力を約束する。


 アル・ワジュからアラブの勇者50人を率いて、オスマン帝国軍が占領
 する港湾都市アカバを内陸から攻撃する為に、危険と言われている
 フド砂漠をへ。


 延々と続く砂漠を行軍中、カシムという男がいないことに気がついた
 ローレンスは、みんなの反対を押し切って、カシムを救うために一人
 で今来た道を戻り、無事カシムをラクダに乗せて帰還。彼のこの行動
 をアラブ人は歓迎し、喜び、彼を仲間として認め、アラブ伝統の衣装
 を身につけさせる。ローレンスが認められた感激の場面です。
 
 史実では実際に「一人のアラブ人が行方不明になり、ローレンスが探
 しに行った」というエピソード自体はあったそうですが、映画のよう
 に美談になったわけではなく、危険を冒して助けに行ったことを、周
 囲から非難され、笑いものになったとか。この場面を映画はドラマチ
 ックな美談として脚色したようです。

 
 ローレンスの相棒になったアリが、自分の着ているローブ(アラブ
 の男性が着る、足首まであるゆったりした長衣)をテントにして寝
 たのを見て、これぞ砂漠の民の知恵だと感心しました。アラビア半
 島の遊牧民ベドウィンは、ゆったりしたローブやマントを着ていま
 す。こうしたローブやマントは、日中は風通しをよくし、夜は体に
 巻きつけて毛布のように保温する。寝る時はローブを、簡テント
 のようにして風や砂から身を守る。と言った「1枚で何役もこなす
 道具」として使われてきたそうです。

 もうアカバ到着という時に悲劇が起こる。ローレンス側の兵士が
 味方になってくれたアウダの兵を殺してしまう。殺したのはロー
 レンスが助けたカシムだった。軍の統制と団結を守る為ローレン
 ス苦渋の決断でカシムを処刑。実在のローレンスも同じ状況で処
 刑した事もあったようですが、処刑した相手はカシムでは無かっ 
 たそうです。

 遂に彼の思惑通りアカバを攻略。
 アカバを占領したローレンスは、そのまま2人の少年を連れてカイロ
 へ。途中で少年の1人が流砂に呑み込まれて死ぬという事件があった
 が、無事カイロに到着。


 ここで新しいイギリス軍の将軍アレンビーと会談。アレンビーはロー
 レンスの功績を認めて彼を少佐に。しかしローレンスは少佐を辞退す
 る理由として、人を殺す行為に快感を覚えてしまったことを告白。
 戦争でいかに人間の心がすり減り、ねじれていくか教えてくれる場面
 です。
 1度はアラビア行きを諦めたローレンスですが、アレンビー等に説得
 され戦線に復帰することを決意。
 行くにあたって、「アラビアはアラビア人のものだ」という確認をす
 るのですが、誤魔化されてしまいます。

 イギリスはこの時同じ中東の土地について、
 「アラブの独立を約束」「列強で山分け」「ユダヤ人国家を支持」と
 いう両立しずらい約束、世に言う「三枚舌外交」をしていたのです。


 後編は新聞記者のベントリーがファイサル王子の所に尋ねてくるとこ
 ろから始まります。
 ローレンスは、ベントレーのアカバ攻略や列車襲撃の記事によって
 「英雄」になっていきます。
 しかし不注意からトルコ軍の捕虜となって受けた屈辱や、仲間の死を
 通して戦いに幻滅。実在のローレンスも捕虜になって暴力を受け、
 の出来事で精神的に決定的な傷を負ったと告白しているそうです。
 映画の中でローレンスは、「普通の生活に戻りたい」と軍の上層部に
 訴え一旦任務を離れようとしますが........


 アラブにダマスカスを与えるという条件で、再びアラブ部族を率いて
 「ダマスカス攻略」に向かうことになります。
 帰ってきたローレンスを見て、記者のベントレーは彼が変わってしま
 ったことに気づきます。

 ダマスカスへ向かう途中、撤退中のトルコ軍を見つけたローレンスは
 戦略目的がダマスカス到着であるにもかかわらず、「捕虜を取るな」
 と虐殺命令を出してしまいます。そして彼自身も沢山の兵を殺してい
 きます。
 実在のローレンスも、撤退、脱走中のトルコ兵に対して非常に苛烈な
 攻撃を行ったことを、自分の回想録や報告の中で認めています。
 ただ映画ほどはひどく無かったと、その場にいた英軍やアラブ兵が証
 言しているそうです。

     
    ダマスカス占領後は、アラブ側による「アラブ会議」が開かれます

     が、民族間の対立や運営の未熟さから機能不全に陥り、部族は砂漠

     へとそれぞれ引き上げていきます。結局彼はアラブから身を引き、

     イギリスへ帰って行くところで終わりです。


     ロレンスは理想主義と行動力を持ちながら、政治の大きな流れを変え
     る事は出来ませんでした。彼の献身や犠牲に対して、戦後の中東は列
     強の都合で線引きされてしまいます。個人の善意やカリスマだけでは
     国家や国際政治の構造は変えられないという無力さを教えられたと同
     時に、戦争は人を英雄にも怪物にもしてしまう事も、この映画は教え
     てくれています。今現在起こっている戦争は、もっともっと破壊的。
     戦争をしてはいけないということを、この映画は私たちに語りかけて
     いるんですね。
     


    2026年7月9日木曜日

    ギリシャのお祭り             141回トランスリンクの旅

     日本からW杯サッカーの試合を見に節子さんが久しぶりにVancouver 
     に。短い滞在中に彼女がみんなに会えるように、ギリシャのお祭りを
     見に行く旅を計画したら.....なんと参加者が大人11人、子供が3人。
     びっくりするくらいの人数になりました

     10:00    Brighouse Station 集合
     10:09    CanadaLine  乗車
     10:27     King Edward Station  節子さんとミツコさんと合流
     10:35  King Edward Station  Bus #025 @Bay 3
     11:04  EB Kincaid St.@Boudary  


     お祭りが行われるギリシャ正教会に向かっている途中、お花が綺麗に
     植えられている家があって、その家の前で記念撮影です。
     肝心のお花がよく見えませんけど(笑)

     Sts. Nicholas and Dimitrios Greek Orthodox Church(ギリシャ正教会)
     ギリシャ正教会に到着。
     ギリシャ正教会は東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルを中
     心に発展し、1054年の東西教会の分裂で、ローマ教皇庁を中心とし
     たカトリック教会と別れ、ギリシャを中心に発展。世界全体で見る
     とロシア正教会やセルビア正教会などと同じ「正教会ファミリー」
     の一員で、信仰内容や礼拝の形は基本的に同じだそうです。
     正教会といえば「イコン」ですよね。聖堂の中に入ると、祭壇や壁の
     所に、マリヤやキリストなどを描いた沢山のイコンが飾られていまし
     た。
     お祭りは11時にオープンなのに、会場にはほとんど人がおらず、閑散
     としているのでびっくり!数軒の出店と食べ物だけが売られていまし
     た。グリークダンスなどショーは、全て夕方から始まると分かってガ
     ックリしましたけど......

     節子さんを中心に話が弾み、お祭りとは関係なくみなさん楽しんでく
     れて助かりました。


     2時ごろまでおしゃべりを楽しんだ後、サッカーを見ながらちゃんと
     ランチを食べようということで、節子さんの息子さんが経営している
     「心ラーメン」へ。


     「心ラーメン」はお店もなかなか洒落ていて、サービスも良い上にと
     っても美味しく、W杯のフランス対モロッコ戦も少し見れて楽しめま
     した。ただみんなが一緒に座れなかったのが残念! 
     食事をした後、マクドナルドでティータイムです。
     宗一郎くんとは、彼が野球の試合に出るため、ここでお別れです。
     左下のカイルくん。カフェが大好きで、いつも自分で抹茶ラテを頼む
     のだそうです。小さいのにしっかりしていて驚きました。


     ここでも話に花が咲いて、時間の経つのをすっかり忘れるほど。
     熱っぽくサッカー愛を語る節子さんに影響されて、サッカーに興味な
     かった人たちまで、話に聞き入っていました。サッカーの試合は見て
     いる方も興奮するほど面白いのですが......節子さんも仰るように、
     ワールドカップ開催地決定や、テレビ放映権、スポンサー契約といっ
     た巨大な利権が、各国サッカー協会とその背後にいる政治家、実業家
     の思惑と重なり、国際統括団体であるFIFAは汚職の温床に。
     2015年にアメリカの司法省によってFIFAの汚職事件が摘発された事を
     思い出します。FIFAは表向き「政治とスポーツの分離」も掲げている
     のですから、政治との分離も守ってほしい!
     純粋にサッカーを愛する人達の為にも、今後サッカー選手になりたい
     と夢見ている子供達の為にも、FIFAに襟を正してもらいたいですね。

     今回は旅というよりも、節子さんを中心に楽しいお喋りの会でした。
     

     

    2026年6月28日日曜日

    朋子さんからのお便り

     朋子さんから久しぶりに嬉しいお便りいただきました。

     さとみさん

     また大変ご無沙汰してしまいましたが、さとみさんもご家族もお元気でお過
     ごしでしょうか。

     チャリティーランチの皆さんもまだトランスリンクの旅や映画観賞会を続け
     らていて、ご活発な様子にこちらも励まされます!

     我々は6カ月のマプト滞在も終わりが迫り、明後日にナイロビへ引っ越しな
     ので、ちょっと緊張しています。今回のマプト滞在に関しては、引っ越しを
     2回しなければいけなかったり、今回は任意での第3国から在宅勤務なので
     ビザ申請も自分でしなければならず、手間暇がかかりましたが、お陰でジュ
     リアも私も旧友達と友情を更に深められ、同時にジュリアはまた新しい国で
     一から始める心の準備が整ったみたいで、無理して頑張った甲斐がありまし
     た。


     それと同時に大切な収穫は、シスター達と「幸福の家」の子達と再会して絆
     を深められた事です。シスター達は洪水に苛まれた以前の土地から漸く引っ
     越し、マプトか40分位郊外に出た場所で規模を縮小した形で再開しまし
     た。
     かなり町から離れてしまったので、以前より訪問者も支援者も激減してしま
     った様で、初めて私とマルコスが訪ねた時は滅多に来ない来客だからか大歓
     迎してくれました。


     そしてさとみさん達にご報告したかったのは、以前家建設をお手伝い頂いた
     3人娘の内2人が去年のODA削減を受けて職を失ってしまったので、今月か
     らミカエルさんの職業訓練校に通いだし、調理コースを受けていて「学べて
     嬉しい!」と喜んでいます!その内の1人Beatrizが授業を受けている様子の
     写真です。

     こういう形で、さとみさんとチャリティーランチの皆さんがご支援下さった
     2つのプロジェクトが繋がった形となり、その両方に関わらせて頂いた私も
     感謝の気持ちと感動で胸が一杯になりました。皆さんの支援は、こうやって
     頼る家族がいなくても何とか頑張って生きようとしているモザンビークの孤
     児達の人生に、大きな希望をもたらせて下さっているんですよ!

     では取り急ぎご報告をさせて頂きました。これからナイロビに引っ越した
     後、7月末から8月は日本へ一時帰国します。さとみさんはこの頃ご帰国さ
     れる予定はありますか?

     ではさとみさんもチャリティーランチの皆さんもカナダでの初夏を満喫され
     て下さいね!

     渋谷朋子





    2026年6月20日土曜日

    National Indigenous People Day        140回トランスリンクの旅

     カナダはその歴史の中で、先住民族を差別や同化政策などで抑圧して
     きた反省と、権利や文化を尊重する姿勢を示すために、国として記念
     日を制定。日にちは6月21日。この日は北半球では夏至に当たる日
     で、一年で最も日が長い日です。多くの先住民族の文化に於いて、自
     然の循環や季節の移り変わりは特別な意味を持つのだそう。
     そのため、夏至である6月21日が、先住民族の文化を讃える象徴的な
     日として選ばれたのです。

     1日早い20日にBurnaby で、この日をお祝いする催しがあると言うの
     で、3人で参加してきました。

     #430のバスでMetro Town まで


     National Indigenous People Day のお祝いは1時から始まるので、まず
     はランチから。会場に隣接しているCrystal Mall のフードコート
     へ。
     

     私は初めてですが、ここは中国系のお店が多く入ったョッピング
     モール。2階にあるフードコートでは、リーズナブルな値段で広
     料理、四川料理、マレーシア料理など、種類豊富なアジアの料理
     楽しめると言うのですから、大人気。知る人ぞ知るちょっとし
     場ですね。

     
     「ここで一番美味しいのはマレーシア料理なんですって」と幸子さん
     が事前に調べておいてくれたので、今回はマレーシア料理です。
     
     
      このお店はフードコートにあるのに、結構本格的なマレーシア料理を
     出すと評判のお店だそうで、お料理みんな美味しかったです!

     ランチの後、Indigenous Day を祝うため、Civic Square に。

     会場の周りにはずらりとテントのお店が並んでいました。
     ほとんどがアクセサリーのお店です。


     会場の真ん中に建てられたテントの中にシニア席が用意されていて。
     ここに座っていたらバノック(先住民族のパン)やジュースを持って
     きてくださって、サービスの良さにびっくり!
     帰る時にもバノックを差し出されたので、欲張って一人2個ずつもら
     いお土産にしました(笑)。これは先住民社会で行われてきたポト
     ラッチなのかも。(ポトラッチとは、お祝い事があると、主催者は客
     に衣料や食料などを、ふんだんに振る舞う習慣のことです)


      挨拶の後ショーの始まりです。



     Chinook Song Catcher は、スクワミッシュ族の未割譲地(グレーター
     バンクーバー地域、スクワミッシュ、ウィッスラーとして知られる
     地域)に根差したグループで、1995年にノースバンクーバーのエスル
     ハン村で設立。文化大使として世界各地の観客と交流し、日本にも
     訪れたそうです


     Tsatsu Stalqayu は若いコースト・セイリッシュ族のグループです。
     コースト・セイリッシュの文化では、海や川をカヌーで移動すること
     が重要で、今でも「Tribal Canoe Journey」などの伝統カヌー航海が行
     われているそうですね。踊りも「Coast Sailish Paddling Dance」で、
     少女達が櫂を持って踊っていました。


     Spakwus Slolem は「Eagle Song Dancers」という意味で、スコーミ
     ッシュ族のグループです。


     Kwakiutl(クワキウトル)族のダンサーが「狼」のマスクを被り、赤
     と黒が特徴的な伝統衣装を身に纏ってのダンスです
     

     Madelaine McCallum が歌い出したら、突然飛び込んできて踊り出し
     た4歳ぐらいの女の子。なかなかのダンサーでした!


     最後はファッションショーだったのですが、これミスってしまって.....
     私たちはランチを食べたCrystal mall に戻り、お買い物です。
     ここには新鮮で安い野菜や美味しそうなチャーシュー等があって、購
     買欲がそそられます。上の写真は雅子さんがチャーシューを買ってい
     るところ。野菜もいっぱい買ってからMetro town へ。
     ユニクロや無印でもお買い物をしてから......
     今日1日の終わりのティータイムです。

     先住民族の人たちの文化の一端に触れる事が出来たし、Crystal Mall
     も面白かったし、Metro Town でも買い物できたし。
     今回も楽しくて、盛り沢山のツアーでした。
     

    2026年6月14日日曜日

    18回映画談義とおやつの会(終着駅)

     参加者7名 


     今回も皆さん、たくさんのおやつを持ってきてくださって。
     色々食べながら、お喋りも弾みました。


     今日の映画の話題は1953年に制作された伊米合作映画の「終着駅」。
     ヴィットリオ・デ・シーカ監督、ジェニファー・ジョーンズ、モンゴ
     メリー・クリフト、リチャード・ベイマー主演の映画です。


     米国人の若い人妻メアリー・フォーブスが、米伊混血の英語教師の青
     年ジョバンニ・ドナーティを尋ねるところから物語が始まります。
     家のドアのところまで来たのですがベルが押せず、断ち難い思いを残
     してローマの中央駅に向かいます。


     彼女は姉の家に身を寄せて、ローマ見物を楽しんでいたのですが、そ
     の間にジョバンニと知り合い、激しく愛し合うようになってしまった
     のです。しかし家族が待っているアメリカに、帰国する以外になす術
     もないので、甥のポールに電話で荷物を持って来るように頼み、午後
     7時に出発するミラノ行きの列車に乗ることを決意 


     そして彼にお別れの電報を打つことに。
     「愛するあなた さっき部屋の前まで行きました。ドアを開ければ幸
     福になれたでしょう。でも決心できませんでした。
     あなたと共に生きていくためには、私は全てを捨てねばなりません。
     あなたといると自制心を失い、夫を忘れ、子供のことさえ忘れそうに
     なります。忘れられるはずもないのに、許してください。
     あなたへの愛は変わりません」と書いたが.....  結局電報は出せずに7
     時の汽車に乗り込む。この電報に別れを選んだ苦しさや、それでも彼
     を深く愛している気持ち、そして家族の元に帰ると言う決意まで、彼
     女の正直な気持ちが全部凝縮されていますね


     決心して汽車に乗ったのに、発車数分前に駆けつけてきたジョバンニ
     の姿を見て、心が動揺し彼に会う為に汽車を降りてしまう。
     
     
     二人が話をしているところに、ポールが彼女の荷物を持って現れる。
     このポール役をやっているリチャード・ベイマーって、この時15歳。
     8年後に「ウエストサイド・ストーリー」のトム役をやるんですよ。
     

     結局汽車をミスってしまい、二人は話し合うことに。
     その話の中で彼は自分の家庭のことを話し出し「イタリア男の父親は
     結構好き勝手をし、母親は家事に専念。自分もイタリアの男だから場
     合によっては君を殴るぞ」なんて平気でいうのです。こんな男になん
     で未練たらたらなの?って見ているだけで嫌になってきます。当時の
     社会風潮としてはそれほど珍しくない発言かもしれないけど、今だっ
     たらこんな事を言ったら噴飯物ですね。

     甥のポールが、まだ駅の中でウロウロしているのを見つけ、メアリー
     が咄嗟に声をかけてしまう。その事を責めるジョヴァンニに「現実的
     に考えて、私たちは一緒になれない。さよなら」と別れを告ると、
     彼は感情を爆発させ、彼女に平手打ちをしてそのまま立ち去ってしま
     う。これで二人の関係は終わってやれやれと思ったのに....彼はやっぱ
     り諦められなかったんですね。


     駅に戻り、彼女をあちこち探して回るのですが、なかなか見つからな
     い。探し回る彼の姿は、捨てられそうな孤独な青年が、最後の拠り所
     を必死に求めて探し回っているように見えました。

     遂に別のプラットフォームにいる彼女を見つけ、メアリーの名前を呼
     ぶのですが、彼女は無視して列車に乗り込もうとする。彼女のいるプ
     ラットフォームの脇を、列車が煩雑に行き交う中で、彼は線路に飛び
     降りて一直線に彼女の元へ向かいます。走行中の列車がすぐ近くを通
     り抜け危うく轢かれそうになる。

     命懸けで彼女に会おうとした彼に、心を揺さぶられたメアリー。彼の
     導くまま近くに止まっていた汽車に入りこみ、熱い抱擁をかわしてい
     たら、鉄道警察の警官見つかりに連行されてしまう。
     
     危うく起訴される羽目になったが、警察署長の「汽車に乗りたいか
     ね」と言う質問にメアリーが「イエス」と答えたため、無罪放免とな
     なる。たった10分ぐらい立ち入り禁止の所に入っていただけなのに、
     もしかしたら裁判沙汰になるケースと聞いて驚きました


     一緒に列車の中に入り出発のギリギリまで別れを惜しんで言葉を交わ
     す二人。別れをやっと納得したジョバンニに対し、未練がましく彼が
     いかに好きであるかを喋り続けるメアリー。

     この場面を見て、心の中では家族の所へ帰ると決めているくせに、最
     後まで彼を引き留めようとする、メアリーってずるいなって思います
     ね。彼女の最後の言葉が「行かないで」。この場に及んでこんなセリ
     フ言う?おかげで彼もなかなか立ち去れず、遂に汽車が動き出してや
     むなく飛び降りると、ホームに叩きつけられ情けない姿で汽車を見送
     るところで映画は終わりです。

     この映画はかの有名なヴィットリオ・デ・シーカの作品なので、期待
     して観たのですが、もう一度観たいと思う映画ではなかったです。
     作られた時代が古いせいもあって、男女の役割や倫理観がかなり一方
     的で古臭く、観ていて苛立つ場面も多かったし。二人の痴話喧嘩を
     延々と観させられただけで、何も心に響きませんでしたね。
     他の人も結構同意見で、おかげで映画についての話があまり出ず、
     今回は他の話で楽しく盛り上がった会になりました。