今月の映画は1947年に公開されたレイモン・モーリス・ラディゲ原作
「肉体の悪魔」。クロード・オータン=ララ監督、ジェラール・
フィリップ、ミシュリーヌ・プレール主演の映画で、幸子さんが特別
に日本で探し求めて来てくれた作品です。
参加者9名
今回も美味しそうなおやつがたっぷり!
それぞれのお皿に分けた後映画が始まりました。
題名が凄いので、どんな内容になるやら....ちょっとドキドキでした
ね。
映画は、人々が終戦の喜びで沸き立っている中、主人公フランソワ
(ジェラール・フィリップ)が、愛した女性マルト(ミシュリーヌ・
プレール)のお棺が、教会へ運ばれるのを、遠くから見守っている
シーンから始まります。その後フランソワは、彼女と愛し合った部屋
を訪ね、鏡を見つめながらマルトとの出会いを回想する形で物語が進
んで行きます。
時は第一次大戦下、フランソワの通う高校に臨時陸軍病院が併設さ
れ、そこで見習い看護師として働いていたマルトと知り合います。
19歳のマルトには出征中の婚約者がいますが、彼女は17歳のフラン
ソワの情熱に惹かれ、2人は愛し合うようになります。
マルトに「今夜10時に桟橋で待っている」と告られるのですが、彼女
が婚約者と一緒に部屋にいるのを見た彼は、彼女への愛と嫉妬心で死
のうと決意し、父親の部屋からピストルを持ち出すのですが....
事情を知った父親の対応が素晴らしかったです。感情的に息子
を叱責するのではなく、息子を思いやるが故に、静かに忠告を与え、
見守る姿勢を示します。
彼女の待っているところには行かない、別れるのだと言い張る息子を
強引に桟橋まで連れて行きます。約束の時間に1時間遅れて着いた2人
は、彼女がまだ暗闇の中彼を待ち続けている姿を見付けます。
これを見て「女に冷たくされると後を追いたくなるが、愛されている
と簡単に別れられる」と父親が言うのです。流石恋愛至上主義のフラ
ンス人の言葉です。一旦は父の忠告を受け入れるのですが.....
マルトはフランソワを諦めて結婚し、フランソワは学校に戻ったので
すが、学校とマルトの勤めている病院は同じ敷地内なので、2人は再
会してしまう。そして再び恋が激しく燃え上がるのです。
夫が戦地に行っている間、2人は人目も憚らず恋に溺れていき、遂に
マルトが妊娠。父親になったことを喜ぶフランソワですが、現実の
重さの前でたじろいてしまう。彼女に対して何も出来ないでいる間に
戦争終結のニュース!もうすぐ夫が帰ってきてしまいます。
身重の体でウイスキーをあおり、重体になったマルトは母親と共に
病院へ。そして帰還した夫の手を握りながら、フランソワの名前を呼
び子供を残して亡くなります。彼女がフランソワの名前を呼んだ時、
傍にいたマルトの母が「子供の名前はフランソワよ」と誤魔化す場面
が良いですね。これで生まれた子供も安泰って思いました。
部屋の暖炉の火が消えて行く事によって、マルトの生命の灯が消えた
ことが暗示されます。
マルトの出棺を見送りながら、現実に立ちすくみ、愛していると言い
続けながら、片方で彼女を裏切り続けたことで、後悔と絶望に苛まさ
れながら立ちすくむフランソワ。
この物語は、原作者ラディゲが14歳の時、すでに婚約者のいた当時23
歳だったアリスと出会い、禁断の恋に落ちた実体験がベースになって
いるそうです。アリスの婚約者もちょうど出征中だったんです。
結果としてラディゲは不勉強と不登校のため学校を退学処分に。
15歳で学業を中断し、ジャーナリズムに挑戦するとともに、パリの文
学界や芸術界に出入りし、そこでたちまち名を馳せるようになり、後
に師であり恋人となるジャン・コクトーを始めピカソやモディリアー
ニー等と知り合いになるのですから凄いです。
「肉体の悪魔」はラディゲが16歳の時に書き始め、18歳で完成させ、
19歳で出版され、ベストセラーになっています。
しかしこの本の出版後、モデルになったアリスは、子供の父親を含め
生涯夫に疑われ続けることになったようです。
20歳で早逝したラディゲ自身も、死の直前自分の小説が原因で彼女
を苦境に陥れてしまったことに対し、罪悪感と恐怖を感じていたと伝
えられています。
映画の中でフランソワと両親との関係が時々出てきますが、息子と
関り合うのはいつも父親なんです。この関係ってラディゲ自身の両親
との関係なのではないか調べてみたら.....
ラディゲはいつも母親の近況を尋ねられると、「知らない。母の顔を
見たことないがない。いつも俯いて兄妹姉妹の靴紐を結んでいるから
だ」と答えたそうで、母親の存在は彼にとってとても小さかったよう
です。それに比べてラディゲは人生において父親からとても大きな影
響を与えられています。ラディゲの父親の息子に対する寛容さと、あ
る種のライバル意識が入り混じった態度が、「肉体の悪魔」における
父子関係に投影されていたんですね。
ジェラール・フィリップは、この映画のオファーを受けた時24歳だっ
たので、17歳の役に躊躇したようです。とても繊細な感じに演じてい
ましたけど、やはり17歳にはちょっと無理があると言うのが皆さんの
意見でした。
映画を観終わってからのおしゃべりも楽しかったです!























































