2024年7月22日月曜日

Terra Nova Rural Park を散策          114回トランスリンクの旅

   今月の旅は、私が朝よく歩く散歩コース(Terra Nova)に皆さんをお連れしまし
   た。
   このTerra Nova は、私がこの地に引っ越ししてきた30年前はまだ自然がそのまま
   に残った場所だったのですが、その後すぐに開発されることになり、それに関
   して相当な議論が巻き起こったことを覚えています。結局自然を半分
   (63エーカー)残すということで、開発が始められました。
   それと同時に開発しない残りの半分にも手が加えられ、Community Garden や
   遊園地が出来ると共に、多くの鳥や生き物が住めるように工夫され、沼には橋が、
   そして鳥や虫たちが好む植物が植えられると同時にトレールも整備されてきた
   という歴史があります。

   参加者は大人8名と宗一郎くんです。

   11時にTakeya 集合。Takeya でそれぞれお弁当を買って、車で
   Terra Nova Community Garden まで。
   そこでパーキングして隣接しているSharing Farm へ。
  

   ここには大勢が憩えるように、大きなテーブルがあり、その上にはテントまで
   張られていました。
   まずはここでランチからスタート。
   このSharing Farm にはパン焼きのかまどや葡萄の棚、温室、野菜畑があり、出来
   た野菜はFood Bank に寄付されるそうです。


   こんな綺麗なお花畑もあります。
   食事をしたSharing Farm も含めてここはTerra Nova Ruaral Park の中です。


   食事が済んだ後、いよいよRural Park の中の散策です。
   畑の片隅には白と紫の釣鐘のような形をした花が沢山咲いていました。
   これは1970年にビタミンBやミネラルを多く含む健康野菜としてブームが起こり、
   日本でも沢山栽培されたコンフリ(日本名ヒレハリソウ)です。
   その後の研究で毒性が指摘されてからは見向きもされなくなったみたいですが、
   葉や根に細胞増殖作用があり、今でも傷や骨の治療に使われています。
   そして葉をお風呂に入れると、若々しい肌になる効果もあるそうですよ。

   Sharing Farm に隣接してCommunity Garden があります。
   その中にあるちかこさんの畑です。茗荷谷やズキニ、胡瓜等が’元気に育っていま
   した。


   Community Garden を抜けてnature areaに入っていくとピンクの花が咲いて
   いるハードハックの鬱蒼とした茂みが出てきます。
   これはシモツケの仲間ですが、ここにあるのはカナダ原産のハードハックです。
   繁殖力が強く、ヨーロッパでは強力な侵略植物として嫌われているとか。
   でもこのピンクの花が蜂を引き寄せ、地元の蝶がこの木に卵を産み、湿地の鳥
   が止まっているのを見ると、ここには必要な木なんだなって思いました。


   後ろに見える小さな小屋はコウモリのコンドウです。
   コウモリがRichmond に住んでいるなんてとびっくりしますが、この地域で
   絶滅危惧種である小さな茶色のコウモリを含めて6種類のコウモリが見つ
   かっているんです。でも残念ながらこのコウモリのコンドウはいまだに使われ
   ている形跡はないそうです。コウモリは夜行性で、夕刻から日没後に活動を始
   め飛び回るので、ちょっとお目にかかれそうもないですね。


   この池には季節に応じていろいろな鴨類が来ているし、つい最近まで「べんべん」
   と緑蛙が良く鳴いていました。

   橋を渡ると一面に黄色いアブラナ科の花が咲いている野原に出てきます。
   ここは数年前まで養蜂をしていた所で、後ろに見えるのが、


   ミツバチが大好きな花がいっぱい植えられているミツバチの庭です。



   ダイクに出て来ました。


   この素晴らしいベンチはCoast Salish のアーティストのSusan Point の息子
   Thomas Carnelle の作品「ワタリガラス(Ravens)」です。


   数千年の間ここにCoast Salish の人たちが定住しており、この看板には
   『彼らは決して一つの地域だけから作物を収穫したのではなく、色々な場所
   から収穫するようにしていたと同時に、そのような過去の物語を語り続けて
   います。私たちは彼らの歴史から学び、彼らの教えがどこから来たのかを
   次の世代が理解できるようにしています。

   上の写真のワタリガラスは3200ポンドもある玄武岩のベンチで、デザインの
   ワタリガラス(レイブン)は、策略にたけた鳥で、状況によって形を変えて
   行っています。英雄であり、勇敢で、Terra Nova Parkの土地 が過去200年の間
   辿って来た変化を反映して様々な形に変わっていっています』
   と書かれています。


   ここはポピーが一面に咲いている野原です。


   ここでちょっと一休み。

   この背の高い花チーゼルの種はオウゴンヒワ(Goldfinch)の好物で、秋になる
   と沢山のオウゴンヒワが種を食べに来ます。ただ種を沢山作って、在来植物を
   駆逐してしまうのが難。でも若葉は生で、またはスムージーにして食べられる
   し、根はお茶に。根には食物繊維が豊富にあるし、花が枯れたら
   ドライフラーワーにしても素敵です。


   こんなトトロに出てくるような木のトンネルが出てきます。



   木のトンネルの下を潜っていくと、


   池が出てきて、端っこに大きなビーバーダムができています。


   ビーバーダムです。


   宗くんが嬉しそうに持っているのがイネ科の多分ヤマアワ?


   この赤い実がなっているのがブラック ホーソン。鋭い棘があり、その棘を使って
   先住民の人はフィッシングの針に使用したそうです。
   この木は優れた強心作用を持つ「心臓のためのハーブ」として知られており、
   心筋を強化し、心臓の働きを高めると共に、高血圧や低血圧などの血圧を調節
   する効果もあると言われています。この赤い実も食べられますが、植物の本に
   何故かあまりお勧めではないとありました。


   皆さん歩き回って、少し疲れちゃったみたいです。


   この橋の脇に生えているこの木がサスカトゥーンベリー。
   実は青くなって、見た目ブルーベリーにそっくりになります。
   耐寒性が-40度で最北のフルーツと呼ばれていて、心臓病の人に効果があるとか。
   


   真っ赤な小さな実が沢山ついているこのナナカマドの木は、日本を含むアジア
   原産で、英語名でJapanese Rowan と呼ばれています。この果実で果実酒や
   ジャムが作れるそうですよ。


   最後は私の庭でティータイムです。


   トシさんが作ってくれたアメリカスグリ(左)とスグリのジャムをみんなで
   味わいました。このアメリカスグリは私の庭で、またスグリはトシさんの庭で
   採れたものもので、左の方がより甘く、右の方がより濃くがあったような。
   でも両方とも美味しかったです。トシさん、ありがとうございました。

   ちょっと公園の中を歩いただけで、沢山の食用植物、薬用植物があるのに
   驚きました。普段見過ごしてしまっていた植物に「秘められた健康力!」
   植物の不思議な力を教えられた旅でした。
   また歩くにはちょうど良い、曇りがちな天気で、自然に触れながら気持ちの良い
   旅をすることが出来ました。
  

   

2024年7月21日日曜日

地球温暖化「気温50度」を踏まえた都市設計 by Forbes

「気温50度」のシナリオも、熱波に備えた都市設計の必要性を専門家が警告


   熱波や高温の専門家らは、現在直面している記録的な暑さだけでなく、今後の
   熱波についても対策を立て始める必要があると警告している。    国連人間居住計画と大西洋評議会のアドリアン・アーシュト/ロックフェラー
   財団レジリエンスセンターの「最高熱波責任者」であるエレニ・ミリビリは
   インタビューで、都市部は他の地域の平均の2倍の速さで暑くなっており、
   「地球温暖化の中心点」になっていると語った。    ミリビリは、都市計画に携わる人は現在世界中で記録が塗り替えられている
   気温だけでなく、さらに暑くなる可能性のある来るべき熱波に備えた都市設計
   を始める必要があるとも指摘した。    「問題を深刻にとらえているフランスの首都パリが現在、気温50度という設定
   を含むシナリオで都市設計を練っているのは非常に示唆的だ」    「5年前にはこのような計画は考えられなかっただろうが、さらに暑くなってい
   る未来を想定した設計を今始めなければならない。というのも、もはや今後暑く
   なるかどうかわからないという話ではないからだ」とミリビリは続けた。    ミリビリのコメントは、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動
   サービス」が新しいデータを発表した際のものだ。発表されたデータによると、
   6月の世界の気温は産業革命前の水準を1.5度上回った。これは12カ月連続だ。
   欧州の6月の平均気温は1991~2020年の平均気温を1.57度上回り、史上2番目
   (タイ)に暑い6月となった。    エンジニアリングと持続可能性のコンサルタント会社Arup(アラップ)の自然
   再興部門を率いるディマ・ゾゲイブがインタビューで語ったところによると、
   同社は人工知能(AI)とコンピュータ上の熱モデリングツールを使って世界中
   の都市の暑さの問題を研究している。    調査で英ロンドンの最も暑い地域の気温は、近隣の緑豊かな地域よりも8度も高
   いことがわかったとゾゲイブは明らかにした。    アラップはこれらのツールを用いて地区や都市規模での設計が気温にどのよう
   に影響するかも測定している。    同社の研究者がアラブ首長国連邦で調査したところ、日差しを遮る覆いや樹木、
   透水性の表面などの対策を導入した地区の気温は10度も下がることがわかった。

   最も危険なのは夜間の高温、高い死亡率や罹患率につながる

   「この研究は、遮光や緑化、オープンスペース、樹木が都市の気温を下げるの
   に大きく貢献することを如実に示している」とゾゲイブは筆者に語った。

   都市は伝統的に地理的な位置やその地域の気候条件に合わせて設計されてきた
   とミリビリは指摘する。

   コンクリートや鉄、アスファルトなど、今日建築に使われている材料の多くは、
   日中に熱を吸収し、夜ゆっくりと熱を放出する。夜間に気温が高いままなのは
   このためだとミリビリは説明する。

   そして、最も危険なのはそうした夜間の高温で、これが高い死亡率や罹患率に
   つながるという。

   ミリビリはまた、多くの都市に「自然がない」ことも、都市の気温上昇を助長
   していると指摘し、医学誌ランセットに2023年に掲載された研究にも言及した。
   この研究では、欧州の都市で樹木被覆率を30%まで高めることで、暑さに関連
   する死を3分の1減らすことができると論じた。

   「都市に緑地を増やし透水性の表面を増やすことは、暑さ対策に複数のメリット
   をもたらす」とミリビリはいう。「暑さは人命を脅かす。緑豊かな都市を作り
   始めれば、今以上に美しくて住みやすく、そして理にかなった都市になる。
   なぜなら緑豊かな公共空間では、誰もが休憩してリラックスできるからだ」

   ゾゲイブは、タンザニアのダルエスサラームでのアラップの取り組みに言及した。
   同社はデジタル技術を使って2050年までの都市の成長をモデル化し、都市の高温
   と洪水に対処するための将来の計画に自然を用いたソリューションを組み込んだ。

   このプロジェクトでは、気温を最大5度下げることができ、オリンピックで使用
   される大きさのプール300杯分の雨を土壌に蓄えることができることを実証した。

   「洪水や都市の高温、緑地といった問題は解決できる。都市を構成するあらゆる
   要素について考え、そうした要素が住みやすく、回復力のある場所づくりにどの
   ように貢献しているのかを理解する絶好の機会だ」とゾゲイブは話した。