今月の旅は、私が朝よく歩く散歩コース(Terra Nova)に皆さんをお連れしまし
た。
このTerra Nova は、私がこの地に引っ越ししてきた30年前はまだ自然がそのまま
に残った場所だったのですが、その後すぐに開発されることになり、それに関
して相当な議論が巻き起こったことを覚えています。結局自然を半分
(63エーカー)残すということで、開発が始められました。
それと同時に開発しない残りの半分にも手が加えられ、Community Garden や
遊園地が出来ると共に、多くの鳥や生き物が住めるように工夫され、沼には橋が、
そして鳥や虫たちが好む植物が植えられると同時にトレールも整備されてきた
という歴史があります。
参加者は大人8名と宗一郎くんです。
11時にTakeya 集合。Takeya でそれぞれお弁当を買って、車で
Terra Nova Community Garden まで。
そこでパーキングして隣接しているSharing Farm へ。
ここには大勢が憩えるように、大きなテーブルがあり、その上にはテントまで
張られていました。
まずはここでランチからスタート。
このSharing Farm にはパン焼きのかまどや葡萄の棚、温室、野菜畑があり、出来
た野菜はFood Bank に寄付されるそうです。
こんな綺麗なお花畑もあります。
食事をしたSharing Farm も含めてここはTerra Nova Ruaral Park の中です。
食事が済んだ後、いよいよRural Park の中の散策です。
畑の片隅には白と紫の釣鐘のような形をした花が沢山咲いていました。
これは1970年にビタミンBやミネラルを多く含む健康野菜としてブームが起こり、
日本でも沢山栽培されたコンフリ(日本名ヒレハリソウ)です。
その後の研究で毒性が指摘されてからは見向きもされなくなったみたいですが、
葉や根に細胞増殖作用があり、今でも傷や骨の治療に使われています。
そして葉をお風呂に入れると、若々しい肌になる効果もあるそうですよ。
Sharing Farm に隣接してCommunity Garden があります。
その中にあるちかこさんの畑です。茗荷谷やズキニ、胡瓜等が’元気に育っていま
した。
Community Garden を抜けてnature areaに入っていくとピンクの花が咲いて
いるハードハックの鬱蒼とした茂みが出てきます。
これはシモツケの仲間ですが、ここにあるのはカナダ原産のハードハックです。
繁殖力が強く、ヨーロッパでは強力な侵略植物として嫌われているとか。
でもこのピンクの花が蜂を引き寄せ、地元の蝶がこの木に卵を産み、湿地の鳥
が止まっているのを見ると、ここには必要な木なんだなって思いました。
後ろに見える小さな小屋はコウモリのコンドウです。
コウモリがRichmond に住んでいるなんてとびっくりしますが、この地域で
絶滅危惧種である小さな茶色のコウモリを含めて6種類のコウモリが見つ
かっているんです。でも残念ながらこのコウモリのコンドウはいまだに使われ
ている形跡はないそうです。コウモリは夜行性で、夕刻から日没後に活動を始
め飛び回るので、ちょっとお目にかかれそうもないですね。
この池には季節に応じていろいろな鴨類が来ているし、つい最近まで「べんべん」
と緑蛙が良く鳴いていました。
橋を渡ると一面に黄色いアブラナ科の花が咲いている野原に出てきます。
ここは数年前まで養蜂をしていた所で、後ろに見えるのが、
ミツバチが大好きな花がいっぱい植えられているミツバチの庭です。
ダイクに出て来ました。
この素晴らしいベンチはCoast Salish のアーティストのSusan Point の息子
Thomas Carnelle の作品「ワタリガラス(Ravens)」です。
数千年の間ここにCoast Salish の人たちが定住しており、この看板には
『彼らは決して一つの地域だけから作物を収穫したのではなく、色々な場所
から収穫するようにしていたと同時に、そのような過去の物語を語り続けて
います。私たちは彼らの歴史から学び、彼らの教えがどこから来たのかを
次の世代が理解できるようにしています。
上の写真のワタリガラスは3200ポンドもある玄武岩のベンチで、デザインの
ワタリガラス(レイブン)は、策略にたけた鳥で、状況によって形を変えて
行っています。英雄であり、勇敢で、Terra Nova Parkの土地 が過去200年の間
辿って来た変化を反映して様々な形に変わっていっています』
と書かれています。
ここはポピーが一面に咲いている野原です。
ここでちょっと一休み。
この背の高い花チーゼルの種はオウゴンヒワ(Goldfinch)の好物で、秋になる
と沢山のオウゴンヒワが種を食べに来ます。ただ種を沢山作って、在来植物を
駆逐してしまうのが難。でも若葉は生で、またはスムージーにして食べられる
し、根はお茶に。根には食物繊維が豊富にあるし、花が枯れたら
ドライフラーワーにしても素敵です。
こんなトトロに出てくるような木のトンネルが出てきます。
ビーバーダムです。
宗くんが嬉しそうに持っているのがイネ科の多分ヤマアワ?
この赤い実がなっているのがブラック ホーソン。鋭い棘があり、その棘を使って
先住民の人はフィッシングの針に使用したそうです。
この木は優れた強心作用を持つ「心臓のためのハーブ」として知られており、
心筋を強化し、心臓の働きを高めると共に、高血圧や低血圧などの血圧を調節
する効果もあると言われています。この赤い実も食べられますが、植物の本に
何故かあまりお勧めではないとありました。
皆さん歩き回って、少し疲れちゃったみたいです。
この橋の脇に生えているこの木がサスカトゥーンベリー。
実は青くなって、見た目ブルーベリーにそっくりになります。
耐寒性が-40度で最北のフルーツと呼ばれていて、心臓病の人に効果があるとか。
真っ赤な小さな実が沢山ついているこのナナカマドの木は、日本を含むアジア
原産で、英語名でJapanese Rowan と呼ばれています。この果実で果実酒や
ジャムが作れるそうですよ。
最後は私の庭でティータイムです。
トシさんが作ってくれたアメリカスグリ(左)とスグリのジャムをみんなで
味わいました。このアメリカスグリは私の庭で、またスグリはトシさんの庭で
採れたものもので、左の方がより甘く、右の方がより濃くがあったような。
でも両方とも美味しかったです。トシさん、ありがとうございました。
ちょっと公園の中を歩いただけで、沢山の食用植物、薬用植物があるのに
驚きました。普段見過ごしてしまっていた植物に「秘められた健康力!」
植物の不思議な力を教えられた旅でした。
また歩くにはちょうど良い、曇りがちな天気で、自然に触れながら気持ちの良い
旅をすることが出来ました。