2025年6月22日日曜日

Scandinavian Midsummer Festival        124回トランスリンクの旅

 夏の到来を北欧の人たちと一緒に祝うために、今年もBurnabyで
 開かれたScandinavian Midsummer Festival(北欧の夏至祭)に参加
 して来ました。
 
 参加者7名。本当は8名だったのですが、運悪く1人の参加者とは
 会えませんでした(涙)

 Richmond組は
 8:50  Brighouse Station @ Bay 3
 8:57  Bus #430
 9:38  Metrotown 
  10:05  Bus #110 Louheed  @ bay 13
  10:23  EB Sprott St. @ Kensington Ave.
  10:30  会場でマサさんご夫婦と合流

会場の見取り図
 会場にはNorway,Sweden,Finland,Iceland,Denmark それぞれのテント
 に舞台、ビアガーデンなどがありました。
 最初に入ったのがSweden のテント。ここでこのお祭りの定番、花冠
 を草や花で作ったのですが.... 上手くお花が取り付けられなくて苦労
 しました(汗)


 次はMuninと名付けられたバイキング船を見に。
 この船は比較的完全な状態で保存されているゴクスタ号の半分の大き
 さのレプリカだそうです。
 

 かつてのバイキング船は、バルト海のみならずフェロー諸島、アイス
 ランド、グリーンランド、地中海、黒海、アフリカまで。
 そしてニューファンドランドには1021年に来ていたというのですから
 コロンブスのアメリカ大陸発見という歴史は塗り替えられそうです
 ね。
 どうですか? バイキングの3人の女性戦士です(笑)
 バイキングに女性戦士なんかいないよという声が聞こえそうですが.....
 いたんですよ。有名なバイキング戦士の墓の骨を調べたら、女性だと
 いうことが判明。それも戦士であるばかりではなく、戦術を立てる
 リーダーだったということが。


 金属で出来ているこの鎖かたびら、持ってみたら結構重いのでびっ
 くり! 10キロもあるそうです。
 

 フィンランドのテントの前にはムーミンの絵看板が。
 Norway のテントでワッフルを注文!
 
 
 苺ソースと生クリームがたっぷり乗ったNorwayのワッフル!
 美味しかったー!特に苺のソースが。夏至祭ではこの旬の苺を沢山
 食べるのが慣わしだそうです。
 ここにフィンランドにあるようなサウナが。
 北欧の人々にとってサウナは、寒い冬を乗り越える為の必需品。
 Vancouver にもあるけれど、いつか本場で体験してみたいですね。
 デンマークのテントです。左の下の写真は吹きガラスで作った鳥の
 フィーダー。
 とっても可愛いので、悦子さんとジュリエットさんの2人が
 ハミングバードのフィーダーをゲット。
 上の写真のように吊るしているそうです。素敵ですね。
 ランチはScandinavia Community Centre で。
 ニシンの酢漬けもスモークサーモンのサンドイッチも肉団子も
 美味しかったです。
 ここはNorway のテント。ここで色々な材料を使ってNorway の民話
 に出てくる不思議な妖精「トロール」を皆んなで作ってみました。
 ノリがなかなかつかなかったりして、結構四苦八苦しましたが、上の
 写真のトロールが私たちの作品です


 こんな可愛らしい犬のパペットを持って広場の中を歩き回っている人
 がいました。


 今日のビックイベント!『Wife Carrying Race』です。
 昔求婚の為に近隣の村から娘を連れ去るという習慣があったという
 言い伝えがあり、これをジョークとして競技化したのがこのレース
 の始まりのようです。結構転んだりして奥様役も大変そう!
 優勝者には奥様の体重分のビールがもらえるのです。
 

 フィナーレは白樺の葉と野の花で飾られたメイポールの周りでみんな
 でダンスです。


 お祭りを見た後、メトロタウンでティータイム。

 北欧の5か国が民主主義指数でも、幸福度ランキングでも167か国
 の中で常に上位を占めているのは、バイキング時代の民主的な体制
 を脈々と現代まで引き継いできたからだそうです。
 このお祭りに行ったお陰で、バイキングのことを調べていたら、こん
 なバイキングの言葉が出てきました。
 「我らには王はいない。各人が平等なのだ」
 この精神が大事ですね。


2025年6月7日土曜日

映画「第三の男」  第8回映画とおやつの会

 
 今月の映画は、1949年に公開された キャロル・リード監督の作品
 『The Third Man (第三の男)』です。

 参加者10名


 今回もおやつが山盛り!みなさん、毎回違った色々なおやつを持って
 きてくださるので、とても楽しみ!コロッケや大福、水羊羹、
 ドーナツ、お菓子など食べて、リラックスした雰囲気になったところ
 で映画の始まりです。

戦後すぐのウイーン
 映画は戦中はナチス・ドイツに占領され、終戦間際にソ連による攻勢
 で街は廃墟のようになり、戦後米英仏ソの4カ国に分割占領されて
 しまったウイーンが舞台です。

右がハリーことオーソン・ウエールズです

 物語はホリー・マーティンズというアメリカ人の作家が、友人 
 ハリー・ライムの誘いでこの街にやって来たところから始まります。
 このハリー・ライムを演じているのがなんとオーソン・ウエールズな
 んです。ところが着いてみたらライムは前日に事故で亡くなったとい
 う。友人の為にその交通事故を調べていると、事件現場にいた謎
 第三の男が浮かび上がってくる。そのことを証言しようとした
 アパートのポーターが殺される.....というふうにだんだん不穏な展開に
 なってきます。
 この頃から画面が斜めの構図が多くなるのですが、英治さんの解説で
 これはマーティンズの不安定な心理や、見る人にも不安感を与える効
 果を狙ったものだそうです

 ライムの恋人の家の近くを歩いていると一人の男の影が。
 この場面もとても印象的。死んだと思ったライムが生きていて、彼が
 第三の男だったんです。映画ではこのような影を何箇所かでとても
 効果的に使っていましたね。


 幼馴染のライムは実は犯罪組織の大ボスであると聞かされたマーテ
 ンズは、真実を確かめる為に彼に会うことに。それが有名な観覧車の
 中の場面です。戦争による秩序の混乱を巧みに利用し、大量の人間を
 死に追いやっても、平然と自分の利益だけを貪ろうとするライム。
 別れ際にマーティンズに嘯いたセリフが有名。
 「30年間ボルジア家に支配されたイタリアは、戦争、恐怖、殺戮、流
 血の惨禍にあったが、ミケランジェロやダ・ビンチ、さらには
 ルネッサンスを生んだ・同胞が家族同様に愛で結ばれ、500年の間
 の民主制と平和が続いたスイスは何を生んだか?鳩時計だよ」
 でもこのセリフ、ライムがしたことのなんの言い訳にもなっていませ
 んけど。それに鳩時計を生んだのはドイツだそうですね。


 やはり友達を裏切れないのでアメリカへ帰ることにしたマーティンズ
 が、連れて行かれた病院でライムの粗悪なペニシリンを打たれて苦し
 んでいるたくさんの子供達を見て、ライム逮捕に協力する事を決意。


 ウイーンの地下にはこんな下水道が迷路のように貼りめぐされてい
 て、歩ける距離は2000kmにもわたるそうです。


 その地下下水道の中を必死に逃げるライム。彼を追うマーティンズと
 国際警察。
 

 追跡されて怪我を負ったライムは、マンホールから地上に逃げようと
 しますが、鉄格子の扉が開かず、指だけが闇の中でもがきます。
 この指の演技はオーソン・ウエールズの代役で、監督のキャロル・
 リードが演じたそうですよ。


 最後の場面は今度こそ本当のライムのお葬式。ライムの恋人に恋をし
 たマーティンズはお葬式の終わった後、彼女を待ち受けますが、彼女
 は一顧だにせず通りすぎてしまう。

 彼女は自分が愛した男の現実、いかに酷い男なのかを知ろうとし
 い。ライムは闇取引で多くの子供達を死に至らしめているうえソ連
 軍警察の庇護のもと、ソ連地区に潜伏し、その代償として、チェコ
 スロバキアから亡命していたアンナの情報まで売った男なのに.....



 「怖い点は、このライムのように誰もが第三の男の心理になり得る。
 そして無知な人々はライムの恋人のように、自分に都合の良い事実だ
 けしか知ろうとしない」と言う英治さんのコメントに同感です。

ツイッター
 この映画はウイーンでは不評だったとか。そのおかげでこの映画の
 全編を流れる音楽の作曲兼演奏者であるアントーン・カラスは、
 ウイーンで随分嫌がらせを受けたそうです。
 カラスが弾いたツイッターという楽器はとても演奏が難しいので、今
 ではあまり演奏されないみたいですけど、とても素敵なので、映画を
 観るならこの音楽にも耳を傾けて下さいね。

 

2025年5月18日日曜日

Richmond の公園巡り            123回トランスリンクの旅

 季節はどんどん移り変わって行く。桜が散り、チューリップの花も
 もう終わり。石楠花やキングサリも終盤に近い。花を見るのなら
 急がなくてはと思い、今回の旅はリッチモンドの地元の公園巡りを
 することにしました。
 
 参加者6名 最初の公園Paulik Park に11時集合


 Paulik Garden はリッチモンドの中心部に6エーカーもある市営公園
 なのに、リッチモンド在住の人たちにもあまり知られていない秘密
 の花園なんです。元々はオーラー家とパウリック家が所有していた
 個人庭園だったんですね


 この庭園は小径がまるで迷路のように縦横に配されていて、どこを歩
 いているのかさっぱり分からなくなります。


 結構初めて見る花があって、その度にトシさんにお花の名前を調べて
 もらったんですけど......日本名のない名前もあって、調べてもらった
 のに花の名前ほとんど覚えきれませんでした(涙)

 キングサリ(またはキバナフジ)がちょうど満開でした!
 花と種には毒があるので注意。この花の中国名はなんと毒豆という
 のだそう。もう少し素敵な名前をつけてあげても良いのに.......


 Paulik Garden の後歩いても7, 8分の所にある23,76エーカーの大きな
 市の公園Garden City Community park へ。


 この景色素敵でしょ?
 ただ数日続いた雨のせいか、水が泥色だったのが残念でした。
 夏になると、この池を埋め尽くすように睡蓮が咲いてとても綺麗で
 すよ。
 私たちが歩いている道のすぐ傍で、カナダガンのひなたちが固まって
 寝ていて、すぐ側によっても身動きひとつしないんです。
 人間を信頼しているんですね。


 2つの公園を立て続けに歩いたので、ここでちょっと一休み!


 整備された遊歩道と広々とした緑地を備えたこの公園は、お花を愛で
 るというより、散歩やランニングを楽しむのに最適な環境です。
 テニスコートやバスケットボールコートなどもあるし、子供達の遊べ
 るplaygroundも充実しています。
 景色が美しく静かな環境なので、素敵な散歩ができました。


 1時すぎてやっとランチです。レストランは「Samsoonie Noodle
  And Rice」 トランスリンクの旅では初めての韓国料理でしたが、
 とっても美味しかったです
 最後の公園に行く途中で、Richmond Sinir Secondary に立ち寄りまし
 た。というのはこの学校で3年前に最初の宮脇メソッドによるミニ
 フォレスト(彼らはPocketful forest と名付けています)の植樹が行
 われたのです。上の写真は植樹している所と、2年目のに入った
 木々の写真です。2年目の写真を見るとバックに校舎が見えていま
 すね。
 

 3年目になったらもうこんなに成長していて、立派な雑木林になって
 いました。バックにもう校舎が見えないでしょ?



 ミニフォレストの成長を確認した後、Terra Nova Rural park へ。
 35エーカーもあるこの公園スペースには80種の在来種と渡り鳥が
 生息しているそうです。ワシやタカはもちろん運が良いとフクロウ
 なんかも見れたりしちゃうんですよ。


 ここは沼地で、夏になると水面が藻でびっしり。


 公園にはこんな変わったベンチも。


 この公園にも2023年、2024年と2回ミニ森林を作るための植樹があっ
 て、上の写真は2023年に植樹したものでこんなに成長しています。



 皆んなが座っているこの玄武岩で出来ているベンチは
 Thomas Carnell 作のベンチ、レイブン(ワタリガラス)です。
 みんなが座っているので、レイブンの絵がちょっと見えない
 のが残念!石のベンチなのに座ってびっくり!とても暖かく
 て気持ちが良いのです。玄武岩って熱を保ちやすい石なんで
 すね。みんなの気持ちよさそうな顔みてください!
 

 この木々のトンネルちょっとトトロのトンネルみたい
 

 公園巡りの締めはティータイム。よく歩いたので、ちょっと甘い
 チャイティーで一息つきました。

 遠くに出かけなくても身近にもこんな良いところがいっぱい。
 天気の良い日に気の置けない仲間とちょっと新しい場所に行って
 みる。その時間って日常から切り離された楽しい時間。
 人生は時間の積み重ねというから、みんなでこんな素敵な時間を
 重ねていきたいですね。
 



2025年5月17日土曜日

映画「モンパルナスの灯」を観て      第7回映画とおやつの会


  今月の映画は1958年に公開されたジャック・ベケル監督、
 ジェラール・フィリップ主演の「モンパルナスの灯」です。

 参加者12名 
 
 

 いつものようにおやつが凄い!ケーキあり、巻き寿司、アップパイ
 フルーツ、お菓子、私の作ったぜんざいなどがあって、食べきれない
 くらいでした。
 今回の映画は私の好きな画家モディリアーニの亡くなる数年間の
 エピソードを集めた物語ですが、この映画の冒頭で
 「脚本家はこの映画が歴史的な作品であるとは主張していません」
 と述べています。
 上の写真が冒頭のシーン。モディリアーニが描いた似顔絵を彼につっ
 かえす客。怒りで受け取った絵を破き、お金を受け取らず店を出て
 行く彼を、画商のモレルが冷たい目で見ているところから始まりま
 す。
 最後の方のシーンはお金を稼ぐために、病みつかれた体でバーにいる
 お客に絵を売り歩くのですが、ほとんどの客は絵に無関心。
 その絵を彼が一度花を買ったことがある花売りのおばさんが、買って
 くれる......でも彼女は絵が好きなわけではなかったのです。
 お金を払いながら「絵は素敵だけどいらないわ」と一言。
 この言葉がどんなに残酷だったか。「あ、それ言っちゃダメ」って
 観ている私でさえ心の中で叫んでしまいました。
 彼の自尊心、生きる力を奪う言葉の暴力。「絵」を自分の魂そのもの
 と考える画家と絵に関心のないおばさんとの心のすれ違いが、見事に
 このシーンで表現されていました。
 そしてその場の光景を見、フラフラ出て行く彼の後を追う画商の
 モレル。まるで死神のようです。彼はモディリアーニの絵を売る為に
 彼が死んでくれるのを待っているのですから。

 
 モディリアーニが亡くなったことを確かめるや否や、妻のジャンヌの
 元に駆けつけ、モディリアーニの死を知らせず絵を買いまくる画商の
 モリス。何も知らないジャンヌがやっと絵の価値が認められたと大喜
 びするところで終わり。喜ぶ彼女の笑顔が素敵すぎるだけに、
 「むごすぎるー」って叫びたくなるようなシーンでした。
 この悪徳画商モレルは実在の人物ではないのですが、リノ・バンチェ
 ラが演ずる画商の存在感が凄く、物語の効果を高めていましたね。

モディリアーニとジャンヌ
 映画の冒頭でこんなことも書いてありました。
 今日世界中のすべての美術館とモディリアーニの偉大なコレクターは
 彼の絵画それぞれに数千万ドルの価値があると考えています。
 1919年に彼が生きていた時は誰も彼の絵を欲しがらなかったのに。
 「モディ」は誤解され、無力になり、自分自身を疑った.......」と。

 そして妻のジャンヌは彼の死の2日後に1歳の娘を置いて妊娠8ヶ月
 の身で自殺してしまった。彼女はまだ21歳だったそう

左が自画像、右はモディリアーニ

 上の4つの絵は彼女の絵で、彼女自身才能のある画家で現在でも
 展覧会が開かれているそうです。

主演のジェラール・フィリップとアヌク・エーメ

 この映画でジェラール・フィリップの演技の素晴らしさ!
 あのジャン・コクトーを始め、多くの人が驚嘆したという
 演技者としての実力を見せてもらいました。
 そして彼の比類なき美しさも思う存分楽しませてもらいました(笑)
 彼がこの映画の翌年モディリアーニと同じ36歳で、肝臓癌で亡く
 なってしまったことを考えると、なんか因縁めいていますね。
 そしてこの映画の撮影中、身体的に大変だったろうと同情して
 しまいます。
 様々な役割を演じてきた彼をこれからも見ていきたいな。

 最後に付け加えたいのがこの映画のバックミュージックについて。
 ポール・ミスラキの作曲で、この物語に本当に溶け込んでいて、
 ついつい聞きそびれることがあるのですが、とても素敵で効果
 的です。映画をまた見る機会があったら、音楽の方にも耳をか
 たむけてください。