今月の映画は1964年に公開されたシュージ・キューカー監督、
オードリー・ヘップバーン、レックス・ハリソン主演の映画
「マイフェアレディ」です。クリスマスシーズンなので、単純に
楽しめる映画を観ようということで、この映画を選んだのですが....
内容的には色々な問題を提起している作品でした。
参加者8名

今回も前回に引けを取らずおやつがいっぱい!
この映画は1913年にバーナード・ショーが、ギリシャ神話の
「キプロス島の王が、現実の女性に失望し、理想の女性を自分で彫
刻。その像を恋するようになり、愛の女神の力で人間にしてもらい
い結ばれるという」物語を下敷に書いた戯曲ピグマリオンが原作だ
そう。
舞台はオペラ座があるコベントガーデン。ここで若い花売り娘のイラ
イザが、言語学者のヒギンズ教授と出会うところから物語が始まりま
す。
下町流に着飾ったイライザは、自分の境遇から抜け出すために、ヒ
ギンス教授に、上流階級の話し方を教えてくれるように頼みに行く。
もちろん授業料は払うつもりだった。最初は断っていたヒギンスだ
が、友人のピッカリング大佐に挑発されて2人は賭けをし、ヒギンス
はイライザの教育を引き受けることにしたのです。
イギリスには昔から階級システムが存在し、英語の発音による差別、
及び階級に準じたアクセントがあって、これが階級を超えて立身出世
する際の足枷に今でもなっているようです。
厳しい訓練を経て遂に上流社会の英語をマスターしたイライザ。
喜んだ二人は彼女をアスコット競馬場に連れて行き、社交界デビュー
をさせますが.....上品な話し方はマスターしたけれど中身は下品な花売
り娘のイライザ、社交界デビューは散々なものに。
その後6ヶ月のより厳しい訓練を経て、再デビューはトランシルバニ
ア大使館の舞踏会。
イライザはトランシルバニア皇太子からダンスの相手に指名されると
いう快挙を成し遂げ、賭けはヒギンスの勝ちとなる。
喜ぶ2人を尻目に、イライザは少しも幸福そうではありません。
彼女は堪らなくなって元のコベントガーデンに戻るのですが、もうそ
こは彼女の住む世界ではなくなっているし、だからと言って上流社会
にも完全に属せないという帰属意識の喪失感に襲われます。
ヒギンス教授との関係も、彼女は彼にとって単なる「研究対象」で
人間として軽んじられていることに気づき反発心を抱き、彼に人間と
しての敬意を求めます。でも女性蔑視的な傾向の強い彼は、彼女の意
見に耳をかそうとはしません。
元々イライザは男などに縋らず逞しく生きていける力を持っていたの
に、ヒギンスに上流社会の作法などを習うことによって、生活力とい
う根っこを引きちぎられ、アイデェンティティを失う結果になってし
まったみたいです。
彼は彼女に出て行かれて初めて彼女に対する気持ちに気がつくのです
が、彼の所に帰って来た彼女に対し、最後に言うセリフが「私のス
リッパは.....一体どこだ」ですから嫌になります。これからも男尊女卑
の関係が続くと暗示しているこの結末は、彼女にとってハッピーエン
ドとなるか疑問ですね。
バーナード・ショーの原作戯曲では、イライザはヒギンスの元を去
り、彼女を愛していたフレディと結婚することを示唆しているようで
す。こちらの結末の方がハッピーエンドだと思いませんか?























