今月の映画は1988年に公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督
フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ、
プペラ・マッジオ主演のイタリアとフランスの合作映画「ニューシネ
マパラダイス」の完全版です。主演の4人のうち子役のカシオ以外
はフランス人俳優です。
参加者7名
今回も食べきれないくらいのおやつ。それを好きなだけお皿に取っ
て.....
いよいよ映画の始まりです!
この映画は2時間の劇場版と3時間の完全版があり、今回見るのは完
全版の方です。
ある日ローマ在住の映画監督サルヴァトーレ(トト)の元に故郷の母
親から「アルフレードが死んだ」という電話が入るところから、物語
が始まります。それをきっかけに幼少の頃から映画に夢中になってい
た故郷の日々を思い出していきます。
子供のトトは映画が好きすぎてちょっとでも隙があるとアルフレード
のいる映写室に潜り込もうとする。そんなトトを初めのうちは邪険に
扱っていたアルフレードでしたが、だんだんトトの映画愛に共感し、
彼に映写機の操作を教えたりして、2人の間に厚い信頼関係が生まれ
てきます。
ある日、アルフレードが営業時間外に近くの家の壁に「ヴィッジウの
消防士」を映写していたところ、火事が発生。トトに命を救われるが
アルフレードは失明してしまう。その後映画館は再建され、トトがア
ルフレードの代わりに新しい映画技師としては働くことに。
戦争に行ったトトの父親の戦死が知らされ葬式が行われた場面。
後ろの建物が再建された映画館「新パラダイス座」。
それから月日がたち青年となったトトは、自主映画制作に熱をあげる
傍ら美少女エレナと恋に落ちるけど、色々な事情が重なり、2人は別
れ別れになってしまう。エレナと連絡がつかなくなり、失意の底に
沈んでいたトトはアルフレードの叱咤激励で広い世界を目指して、
村を出て行きます。
そしてアルフレードの葬儀に参列する為、30年振りに帰郷。
そこで偶然エレナの娘を見かけたことで、エレナに再会。昔の行き違
い(これにはアルフレードが関与していた)勘違いに驚きながらも愛
を確かめた2人。それでもそれぞれ互いの道を進むことを決意。トト
は彼女に心を残してローマに帰ります。彼女と再会する部分とアルフ
レードが関与する場面は劇場版ではカットされています。
最後にアルフレードが残してくれた検閲でカットされた数々の映画の
キスシーンを見る場面です。これは子供頃のトトが欲しがったもので
す。
最後のこの彼の涙!これが何を表しているのか.....
「パラダイス座」の栄枯盛衰とアルフレードとの心温かい絆を中心と
した劇場版と、トトの人生を描くことにフォーカスしている完全版で
この涙の意味が違ってきてしまうんです。
前者はアルフレードとの温かい絆を思い出して過去を慈しむ涙だし、
後者はキスシーンを見て、自分が失ってしまった愛に対する悲しみ
と、アルフレードに対する温かい気持ちを思い出して感傷に浸る複雑
な涙だと思いました。
この映画の2つのバージョンについて監督のトルナトーレは
「長編のストーリー展開の方が好みです。物語の結末でアルフレード
というキャラクターに意外なほどダークな一面があり、短編ほど聡明
でないところが気に入っています。またトトの人生における、仕事で
は大きな成功を収めているものの、私生活では成功していないという
二面性も気に入っています。
アルフレードの導きがなければトトはあのような成功した映画監督に
はなれなかったでしょう。それだけでなく長編のアルフレードはギリ
シャ悲劇の重要な登場人物のように、他の人間の運命を左右する人間
として描かれています。だから映画をカットしなければならなくなっ
た時、まるで罠に足を取られ、囚人になる代わりに足を噛み切って生
きることを選んだ動物のような気持ちになりました」
と言っています。
「人生はそんな単純なものではないのだ」と口癖のように言っていた
アルフレッドの言葉のように、私は完全版の方を観て、より「人生の
意味」について深く考えさせられました。
そして切なくも美しいエンニオ・モリコーネの旋律が心に残る映画で
した。































































