参加者が6名
今回参加者の人数は少なかったのですが、おやつを食べながらすぐ
に話が始まり、時には映画の話題から外れたりしましたが、みんな
で感想を言い合うのって、自分の気づかなかったことなども教えて
もらったりして楽しいですね。
今月の映画の話題は、1974年に公開されたフレデリック・フォーサイ
ス原作の「オデッサファイル」です。監督はロナルド・ニーム、メイ
ンキャストは、ジョン・ヴォイト。イギリス・西ドイツ制作のサスペ
ンス映画です。
同じ年の11月22日、ハンブルグでフリーランスの記者として働くピー
ター・ミラーは、ケネディ暗殺のニュースを聞く為、車を路肩に停め
た時、側を通り過ぎた救急車を見て追跡。救急車は身寄りのないまま
自殺した老人の遺体を収容。ピーターはブラント刑事補からその老人
の日記を入手し、この老人ザロモン・タウパーが、ホロコーストを生
き延びたユダヤ人であることを知るのです。
彼が遺した日記には戦時中ラトビアのリガにあったナチ収容所で自分
が見聞きした残虐な行為と、強制収容所の所長ロシュマンが犯したあ
らゆる罪状が列挙されており、その中には終戦間際に逃亡を図るため
国防軍の勲章受賞将校を殺害した事件も含まれていました。
このロッシュマンは実在の人物なんです。リガにあったカイザーヴァ
ルト強制収容所の歴代所長の一人で、3000人以上のユダヤ人を殺害し
「リガの屠殺人」と呼ばれていたそう。1977年8月アルゼンチンから
パラグアイに逃亡する最中、船の中で心臓発作で死亡。
この映画が公開された時は、まだ生存していて、この映画の公開
で、彼に対する捜索がより厳しくなったみたいです。
ロシュマンを追跡、摘発しようと決意したピーターは、まず老人の友
人を探し出し、彼から「オデッサ」と言う元ナチスの逃亡支援組織の
存在を知らされます。「オデッサ」とは、残虐の限りを尽くした元ナ
チSS隊員で作った組織で、仲間を助ける為に様々な活動をしている秘
密組織でした。
「オデッサ」と言う秘密組織を調べる為、警察署の資料室に行ったピ
ーターは検事に呼び止められる。話している最中検事にかかってきた
電話の内容と検事の机に乗っている封筒を見て、警察内部の一部にも
「オデッサ」の手が伸びていることを知り、検事が電話で招待されて
いた「ジークフリート師団」なる元SS隊員らの戦友会に、彼も出席す
るのでした。
西ドイツは敗戦後、ナチ党員だった人物の公職追放など、社会の「非
ナチ化」を進めていたのですが、時間が経つにつれその機運も消え、
元ナチ党員やシンパが再雇用されだした結果、1963年頃まで司法界や
警察にもその関係者が多かったそうです。
数日後、調査を続けていたピーターが恋人のジギーと地下鉄に乗ろう
とした時、突然背後から何者かに突き落とされ、間一髪で命拾い。
こんな危険な目に遭っても彼は調査をやめず......
著名なナチス・ハンターであるサイモン・ヴィーゼンタールに会いに
行き、「オデッサ」について質問すると、サイモンは、それはナセル
政権下のエジプトの為にミサイル誘導システムを開発している、元隊
員による秘密組織だと言うのです。そしてハンブルグ警察の大部分が
オデッサの構成員であり、決して信用してはならないとピーターに警
告。ロシュマンの写真も見せてくれるのです。
実際に戦後、ナセル政権下のエジプトで、元ドイツ軍や戦時中の元ナ
チ関係者を含むドイツ技術者が、ミサイル開発に協力していたそうで
す。
上の写真のサイモン・ヴィーゼンタールも実在の人物で、彼自身もユ
ダヤ人でホロコーストの生還者なのです。戦後彼は、ホロコーストの
加害者を忘れさせない活動を続け、ナチ・ハンターと呼ばれていたそ
うで、アイヒマンに関する情報提供もしています。
ピーターはサイモンの所から帰る途中、イスラエルの諜報機関モサド
に捕まりますが、ピーターが「オデッサ」を追跡しているのを知り、
モサドは彼に協力することに。モサドの協力を得てピーターは、元ナ
チ隊員のコルプと言う男になりすまし、「オデッサ」に接近。
「オデッサ」の内部組織に滑り込み、最初の試練を乗り越えた後、
「オデッサ」の為に働く偽造屋から偽造パスポートを入手するように
命じられ、バイロイトへ。列車を待つ間、彼は不用意にも恋人のシギ
に電話をかけ、無事を伝えてしまう。安全だと判断した彼は列車に乗
り込みますが、「オデッサ」にピーターが電話をかけたという報告が
入り、彼が偽の身分を使っていることが露見。暗殺者を差し向けられ
るのです。
ピーターは母親と暮らす偽造屋のクラウスと会い、至急パスポートを
作ってくれるよう依頼しましたが、パスポート用の写真を撮る為週末
明けに来るように言われてしまう。深夜寝ていると突然クラウスから
電話が入り、1時間以内に来るよう指示され、不審に思ったピーター
は、警戒しながら屋敷に近づき、暗殺者を見つけ格闘の末彼を殺害。
クラウスの金庫を調べて、「オデッサファイル」を発見します。
そこにはクラウスが作成した全ての偽造身分証の詳細と、それ等の身
分証を与えられた人物の正体が記されていました。
ピーターはロシュマンが偽名を使って軍需工場のオーナーとして豪奢
な生活を送っていることを突き止め,ロシュマンの邸宅に侵入。
銃を突きつけてロシュマンと対峙。サロモン・タウバーの日記を突き
つけると、ロシュマンは全てを否定し、ピーターが何者かに騙されて
いると主張。そこでピーターは殺された国防軍将校の写真を見せ、彼
が自分の父親であることを告げる。映画を見ていて、なぜ彼が命の危
険を犯してまで、ロッシュマンを追うのか不思議でしたが、殺された
将校が父親だと分かって納得です。
ロシュマンと撃ち合いになり、最終的にはかって自分の父親を殺害し
た将校を射殺してしまうのですが、ピーターは無罪放免となり、ロシ
ュマンが関わっていた工場は、物語の終盤で「焼失した」と説明され
て終わりです。
「この映画は綿密な調査に基づいていて、かつて「オデッサ」と呼ば
れた秘密結社が存在したのも事実である。」とフレデリック・フォー
サイスは、映画の冒頭で述べていますが.... 1963年頃のドイツにナチ
関係者を公然と守る正式な大組織があったとするのは難しいようで
す。でも組織的な逃亡ネットワークや個別の支援者は実際に存在して
いたんです。逃亡を助けた国として、アルゼンチン、パラグアイ、ブ
ラジル、スペイン、イタリアなどが代表的だし、カソリックの聖職者
ネットワークや各国の情報機関も関わっていたと言うから、びっくり
です。
この映画、史実っぽさのある政治スリラーとして面白かったし、調
査、潜入、追跡の緊張感が良かったし、考えさせられる映画だったと
言うのがみんなの感想でした。
テンポの早いスリリングな面白いスリラー映画でした。
返信削除背景に、実在する組織が描かれているので、第二次大戦戦後史を振り返る壮絶な内容ですね。主人公の動機が最後に明らかになるストーリー作りはさすがフォーサイスです。
ナチスの残した残虐非道な人権侵害は、その後のヨーロッパにも大きく影響を及ぼしていると考えさせられました。
今、バルト三国を旅しているのですが、ホロコースト博物館や杉原千畝記念館などナチス関連の歴史が各所に残っています。
人間が人間を殺戮する歴史が21世紀の現在も続いているのが、恐ろしいです。これまでの歴史から何の教訓も得られていない人類の未来はどうなるのか不安が尽きません。