今月の映画は、1949年に公開された キャロル・リード監督の作品
『The Third Man (第三の男)』です。
参加者10名
今回もおやつが山盛り!みなさん、毎回違った色々なおやつを持って
きてくださるので、とても楽しみ!コロッケや大福、水羊羹、
ドーナツ、お菓子など食べて、リラックスした雰囲気になったところ
で映画の始まりです。
映画は戦中はナチス・ドイツに占領され、終戦間際にソ連による攻勢
で街は廃墟のようになり、戦後は米英仏ソの4カ国に分割占領されて
しまったウイーンが舞台です。
右がハリーことオーソン・ウエールズです |
物語はホリー・マーティンズというアメリカ人の作家が、友人
ハリー・ライムの誘いでこの街にやって来たところから始まります。
このハリー・ライムを演じているのがなんとオーソン・ウエールズな
んです。ところが着いてみたらライムは前日に事故で亡くなったとい
う。友人の為にその交通事故を調べていると、事件現場にいた謎の
第三の男が浮かび上がってくる。そのことを証言しようとした
アパートのポーターが殺される.....というふうにだんだん不穏な展開に
なってきます。
この頃から画面が斜めの構図が多くなるのですが、英治さんの解説で
これはマーティンズの不安定な心理や、見る人にも不安感を与える効
果を狙ったものだそうです。
ライムの恋人の家の近くを歩いていると一人の男の影が。
この場面もとても印象的。死んだと思ったライムが生きていて、彼が
第三の男だったんです。映画ではこのような影を何箇所かでとても
効果的に使っていましたね。
幼馴染のライムは実は犯罪組織の大ボスであると聞かされたマーティ
ンズは、真実を確かめる為に彼に会うことに。それが有名な観覧車の
中の場面です。戦争による秩序の混乱を巧みに利用し、大量の人間を
死に追いやっても、平然と自分の利益だけを貪ろうとするライム。
別れ際にマーティンズに嘯いたセリフが有名。
「30年間ボルジア家に支配されたイタリアは、戦争、恐怖、殺戮、流
血の惨禍にあったが、ミケランジェロやダ・ビンチ、さらには
ルネッサンスを生んだ・同胞が家族同様に愛で結ばれ、500年の間
の民主制と平和が続いたスイスは何を生んだか?鳩時計だよ」
でもこのセリフ、ライムがしたことのなんの言い訳にもなっていませ
んけど。それに鳩時計を生んだのはドイツだそうですね。
やはり友達を裏切れないのでアメリカへ帰ることにしたマーティンズ
が、連れて行かれた病院でライムの粗悪なペニシリンを打たれて苦し
んでいるたくさんの子供達を見て、ライム逮捕に協力する事を決意。
ウイーンの地下にはこんな下水道が迷路のように貼りめぐされてい
て、歩ける距離は2000kmにもわたるそうです。
その地下下水道の中を必死に逃げるライム。彼を追うマーティンズと
国際警察。
追跡されて怪我を負ったライムは、マンホールから地上に逃げようと
しますが、鉄格子の扉が開かず、指だけが闇の中でもがきます。
この指の演技はオーソン・ウエールズの代役で、監督のキャロル・
リードが演じたそうですよ。
最後の場面は今度こそ本当のライムのお葬式。ライムの恋人に恋をし
たマーティンズはお葬式の終わった後、彼女を待ち受けますが、彼女
は彼を一顧だにせず通りすぎてしまう。
彼女は自分が愛した男の現実、いかに酷い男なのかを知ろうとしな
い。ライムは闇取引で多くの子供達を死に至らしめているうえソ連
軍警察の庇護のもと、ソ連地区に潜伏し、その代償として、チェコ
スロバキアから亡命していたアンナの情報まで売った男なのに.....