2018年9月27日木曜日

☆ 登志子さんの短歌 ☆

     鳴海登志子さんは
     日本のコスモス短歌会の会員で
     同会発行の月間誌
     「コスモス」6、7、8、9、10月号に
     下の歌が掲載されたそうです。

     最後の3首は
     わたしたちがロンドンファームで
     アフタヌーンティーをした時の歌ですね。
     また皆で行きましょう!





      緊急の検査けんさでひもすがら緑の矢印ふみつつ辿る
      精巧な機具の名見ればOLYMPASわたしの結腸画面うつくし
      ドクターの瞳が不意にうるみたり英語で癌の宣告を受く
     宣告の言葉が耳底にひびき来て(そうだわたしだわたしのことだ)
     きさらぎの大吹雪なり頭を垂るるわたしを包むごときマッスぞ

      人生の目覚まし時計が鳴りひびく七十七のきさらぎの朝
      結腸(コロン)癌の宣告受けて上の空飛来のハクガン十万八千
     オペはせずキモセラピーが始まりぬ癌を射るらし新薬恃み
     神妙に子らが付き添ひ病食のランチのチキンスープは美味し

     黄緑のチューリップ似の花咲けりレイモンド街は百合の樹並木
     軽やかな野菜を刻む音がして子が作りゐるスープ香れり
     人参と玉葱キャベツ栗南瓜ぐつぐつ煮ゆる深鍋の中
     分かつてはゐるけど手櫛するたびにわたしの髪が散るはさびしゑ

      久びさに亡夫の好物つくりたり独活人参のピリ辛きんぴら
      菜園に散水すれば虹かかり莢豌豆の蔓伸びはじむ
     ゆつくりと初夏の植物園巡る子の押しくれし車椅子にて

     六度目のキモセラピー後の癌指数末期を脱し下がりて五十九
     連れ立ちて午後の茶房に集ひたり励ましくるる小康の癌を
     三段の白磁の皿は苺づくしムース、クッキー、スコーンを盛りて
     水無月の午後のひととき七名の笑ひ上戸のカナダのシニア

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