日本のコスモス短歌会の会員で
同会発行の月間誌
「コスモス」6、7、8、9、10月号に
下の歌が掲載されたそうです。
最後の3首は
わたしたちがロンドンファームで
アフタヌーンティーをした時の歌ですね。
また皆で行きましょう!
緊急の検査けんさでひもすがら緑の矢印ふみつつ辿る
精巧な機具の名見ればOLYMPASわたしの結腸画面うつくし
ドクターの瞳が不意にうるみたり英語で癌の宣告を受く
宣告の言葉が耳底にひびき来て(そうだわたしだわたしのことだ)
きさらぎの大吹雪なり頭を垂るるわたしを包むごときマッスぞ
人生の目覚まし時計が鳴りひびく七十七のきさらぎの朝
結腸(コロン)癌の宣告受けて上の空飛来のハクガン十万八千
オペはせずキモセラピーが始まりぬ癌を射るらし新薬恃み
神妙に子らが付き添ひ病食のランチのチキンスープは美味し
黄緑のチューリップ似の花咲けりレイモンド街は百合の樹並木
軽やかな野菜を刻む音がして子が作りゐるスープ香れり
人参と玉葱キャベツ栗南瓜ぐつぐつ煮ゆる深鍋の中
分かつてはゐるけど手櫛するたびにわたしの髪が散るはさびしゑ
久びさに亡夫の好物つくりたり独活人参のピリ辛きんぴら
菜園に散水すれば虹かかり莢豌豆の蔓伸びはじむ
ゆつくりと初夏の植物園巡る子の押しくれし車椅子にて
六度目のキモセラピー後の癌指数末期を脱し下がりて五十九
連れ立ちて午後の茶房に集ひたり励ましくるる小康の癌を
三段の白磁の皿は苺づくしムース、クッキー、スコーンを盛りて
水無月の午後のひととき七名の笑ひ上戸のカナダのシニア
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