都市部で捨てられたゴミを砂漠に集め、ゴミの力で農耕や牧畜ができる緑地に
変えるプロジェクトが西アフリカのニジェールで広がっている。
現地でプロジェクトを手掛けているのは京都大学の研究チーム。
砂漠の緑化は、貧困に苦しむ地元の人たちに新たな収入をもたらすだけでなく、
深刻な地域紛争の火種になっている農耕民と牧畜民の対立を解消する対策として
期待されている。
サハラ砂漠の南に広がるニジェールで都市部のゴミを使った砂漠緑化に取り
組んでいるのは京都大学でアフリカ研究を専門にしている大山修一教授ら。
大山教授は現地での農村調査を通して人々の環境認識、自然資源の利用、社会組織
などを分析し、問題の解決に取り組んでいる。
同教授によるとニジェールが位置するサヘル地域では、旱魃や気候変動の影響を
受け、1970年台から砂漠化が大きな問題となってきた。
現地での作業は、フェンスで囲った荒廃地に都市から運んできた家庭ゴミを撒き、
上から砂を被せる。ゴミは分解されて養分となり、ゴミの中に含まれている様々
な植物の種子も発芽する。雨季になると、みるみるうちに植物が生い茂ってくる
という。
砂漠に生息するシロアリも緑化に重要な役割を演じる。
シロアリの作る蟻塚から半径250m〜300m以内にゴミを撒くと、シロアリは
それを餌にするために地中を掘ってゴミにたどり着き、その過程でコンク
リートのように硬くなった土壌が地中から耕されていく。
緑化した場所では、牛や山羊などの家畜がゴミから育った植物を餌として
育ち、糞尿は肥料となって土壌を豊かにする、という好循環が生まれている。
地上4,5cm程度の厚さのゴミを撒くとおよそ3年で地下15cmもの土が耕され
る。1cmから2cmあれば育つ砂漠の植物にとって15cmの深さの土壌は有り
余る程の生育環境になる。 大山修一教授 提供
大山教授によると、緑化が進んだ場所は当初、家畜の餌場にする方針だったが、
一年目にはゴミに含まれる種子が発芽し、住民が食糧にできる作物が実った為、
村人が収穫した後家畜を入れるようにした。これによって乾燥した荒廃地は
人々にとっても家畜にとっても、食料を生み出す場所に変わったという。
ニジェールやナイジェリアといったサヘル地帯の国々では、家畜をめぐる
些細なトラブルで、農耕民と牧畜民との間で紛争が煩雑に起こっている。
砂漠の緑化によって家畜が畑を荒らすことがなくなり、牧畜民の放牧と農耕が
共存できる状況が広がれば、人々の衝突が減り、平和な社会が作られる、
と大山教授は期待する。
ニジュールの砂漠のゴミ利用による緑化プロジェクト良いですね。
返信削除そして古代ペルシャの知恵 どんなに近代化進んでも気候による環境のダメージは今すぐ止めなくてはと思います。
古代の人達も自然との闘いに色々な知恵を出していたのですね。 カズコ