75歳にしてなお、人間の“体の使い方”について
研究を続ける東京大学名誉教授の小林寛道氏は、
自ら考案した〈東大式大腰筋(だいようきん)ウォーキング〉の
要諦をこう説明する。
「体の深いところにあるインナーマッスル(深腹筋)を
活性化する歩き方で、
無理することなく肩甲骨や骨盤の周辺が柔らかくなり、
腰痛や肩こりと無縁の体づくりができます」
小林氏は東大のスポーツ科学の権威だ。
日本陸上競技連盟の科学委員長として、
マラソンの谷口浩美、高橋尚子や
競歩のトップ選手の強化にも携わってきた経 歴を持つ。
1990年代から深腹筋を活かすトレーニング技術を洗練させ、
昨春には、東大・駒場キャンパス内に
独自開発のマシンを備えた
「スポーツ先端科学 研究拠点ジム」を開いた。
「東大式ウォーキング」では、
「大腰筋(深腹筋の一つ)」を積極的に動かす。
みぞおちの高さあたりの背骨から、
内ももの付け根あたりに至る筋肉で、
「日常生活であまり意識しない大腰筋を
運動動作に取り込むのが、
この歩き方のエッセンス」(小林氏)だという。
基本姿勢は別掲のイラストとなる。
「踏み出した足の上に腰を乗せる」
という意識が大切だ。
そこから次の一歩を出す際には、
足を踏み出す側の腰を一緒に前方に押し出す。
「同じ側の手と足が同時に
前に出るように思えるかもしれませんが、
正しくは肩を少し先に前に出すかたちになります。
普通の歩き方だと膝を曲げてしまいますが、
この歩き方では膝はほとんど曲がらない。
“みぞおちから下が一直線の足になっている”
というようなイメージなのです
「骨盤を上手に使った質のよい歩き方をすれば、
1日に何万歩も歩くより
自然に必要な筋肉を鍛えることができます。
膝への負担も軽くなり、
無理なく健康長寿を実現することができると考えています」
最先端スポーツ科学をもとに考案された歩き方。
挑戦する価値はありそうだ。
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